コラム

犬:子宮蓄膿症 猫:腎不全 ハムスター:卵巣嚢胞

ワンちゃん「子宮蓄膿症」
女の子のワンちゃんの飼い主さんへの質問です。ご自宅のワンちゃんは避妊手術を受けていますか?避妊手術を受けていないワンちゃんは以下の病気になる可能性があります。女の子のワンちゃんの子宮に膿がたまってしまう、子宮蓄膿症という病気があります。特に発情(Heat)終了後2,3カ月後になることが多くみられます。 特徴としては

 

①熱っぽい(発熱)
②最近陰部をよくなめている
③食欲が落ちている、または廃絶している
④あまり散歩に行きたがらない
⑤嘔吐がある
⑥下痢がある
⑦陰部が大きい
⑧飲水量、尿量が増える

 

などの症状がみられます。しかし、子宮蓄膿症のワンちゃんはこの症状全てが当てはまるわけではありません。この点は注意が必要です。その一つの理由として、子宮蓄膿症には2種類あり、膿が陰部から出る開放性子宮蓄膿症と陰部から膿が全くでない閉塞性子宮蓄膿症があります。開放性子宮蓄膿症は膿が陰部から出るため、陰部を頻回になめる、陰部が大きいなど比較的わかりやすい症状がみられます。それに対して閉塞性子宮蓄膿症は膿が陰部から出ることがないため、症状が重く出ることが多く、の嘔吐、元気食欲の廃絶、ショック状態の事もあります。閉塞性子宮蓄膿症は膿が体内に残るため、敗血症になる可能性が高いといえます。

 

このような状態になると、根治は手術のみになります。そのため、普通の避妊手術に比べてリスクも高くなります。そのようなリスクを避けるためにも早めに避妊手術を受けることをお勧めします。他にも避妊手術をすることによって乳腺腫瘍、卵巣腫瘍、のう胞性卵巣、子宮水腫、子宮内膜症、子宮捻転、誤交配などを避けることができます。ただし、避妊手術をすると体重が増加傾向になります。食事や運動によって体重を調節することが必要となります。

 

 

ネコちゃん「腎不全」
お宅の猫ちゃんは元気に過ごしていますか?水をよく飲むようになったり尿の量が増えたりしていませんか?

 

良く水を飲むようになり、尿量が増えることは様々なホルモン異常をおこす病気や肝不全、腎不全、子宮蓄膿症などの様々な病気のサインの可能性があります。腎不全は腎臓全体の75%以上が機能しなくなってはじめて血液検査で異常が現れてきます。一度機能しなくなった腎臓は元には戻らないので、残ったところが頑張って生きて行くようになります。その前段階として、飲水量が増える尿量が増えるという症状が出ますので、早めに異常に気づけばより多くの腎臓の機能が残っている状態で治療が開始できますので、病気の進行を大きく遅らせることができます。よく水を飲み、尿の量が増えたりしているようなら早めに病院へおいで下さい。

ハムスターさん「卵巣嚢胞」

嚢胞とは、薄い膜でできた袋状の構造物の中に液体がたまる状態で、これが卵巣にできた場合、卵巣嚢胞と言います。

 

ジャンガリアンハムスターでは、加齢とともにしばしばみられる病気で、特に2歳前後の未経産メスで多くみられます。卵巣は左右一対ありますが、その片側または両側に1個ないし複数の嚢胞が作られます。嚢胞に液体が溜まると、お腹が膨らんで見えたり、嚢胞が膀胱を圧迫するために、頻尿になったり、お尻周りが汚れやすくなったりします。嚢胞とともに卵巣の腫瘍や血腫が形成されることがあり、その場合は陰部からの出血や血尿を伴うこともあります。  この病気の根本的な治療は、外科的な卵巣子宮摘出手術になります。しかし、発症年齢が高齢であった場合、余命を考えると手術に踏み切れない場合もあります。その場合、大きな障害がなければ経過観察や内科的治療、また、針を刺して嚢胞内の液体を抜く処置がされることもあります。液体を抜く処置は、対症的な処置であり、多くの場合は1~2週間でまた液体が溜まってくるため、繰り返し処置を行う必要があります。  お腹の中に嚢胞を作る臓器は卵巣だけとは限りません。ゴールデンハムスターでは、肝臓の嚢胞が多く報告されており、ほかにも、わずかですが、副腎、すい臓、腎臓などで嚢胞が形成されるとの報告があります。また、お腹が大きくなる病気には、嚢胞だけでなく実質性の腫瘍や、そのほかさまざまな病気が考えられます。外から見ただけではわからない場合が多いので、だんだんお腹が大きくなるなどの異常を認めた場合は、早めに病院で診察を受けるようにしましょう。