コラム

うさぎさんの食欲不振

ウサギが食事を1日食べないと大きな問題が3つ起こります。
1つ目の問題は消化器の運動が低下してしまい、ますます食欲がなくなってしまう、ということです。犬や猫など寝ていても24時間、腸が動いている生き物と違い、うさぎの場合は繊維質は栄養であり、腸を動かす原動力でもあります。食事(繊維質)をとらないと胃腸が動かなくなり、胃腸内の食べ物が異常発酵して胃腸にガスがたまり、苦しくなって食べられない→食べられないと腸が動かない→動かないから余計ガスがたまる、とあとは勝手に転げ落ちていってしまいます。
もう1つの問題は、うさぎは24時間以上餌をとらないと脂肪肝になっていくということです。腸管からの栄養の吸収が滞ると、エネルギーを得るために、全身に散らばった脂肪を肝臓に集め、これをエネルギーに変えようとする性質からきています。全身から集まってきた大量の脂肪を肝臓は処理しきれなくなり、肝臓の機能が低下してしまいます。
3つ目の問題は繊維質が腸内に供給され続けないと、腸内細菌のバランスが崩れてしまうということです。本来うさぎの腸内では少ないクロストリジウムなどの悪玉菌が増え始め、一定量を超えると毒素などをばらまき、これによってさらに食欲が落ちていってしまいます。
どこかが痛くて食欲がなくなったときでも、歯が伸びすぎて餌が食べられなかったときでも、飼い主さんが餌を入れ忘れて食べられなかったときでも、とにかくどんな原因でも24時間以上餌をとることができなかったら、これらの問題は起こってきます。そして、はじめの食欲がなくなる原因が解決した後でも、この3つの問題は残り、これによって症状が進行していくこともあるのです。
したがって、ウサギが餌を食べられないというのは、どんな原因が隠されているにしろ、我慢の限界であり、命を落とす瀬戸際まで来ていることを意味するのです。少しでも早く病院に連れていき、食欲を落とす原因となったはじめの問題を解決し、それと同時に消化器系運動能の改善と、脂肪肝になるのを防ぐための処置、腸内細菌の正常化を進める必要があるのです。