コラム

犬:狂犬病 猫:フィラリア症 ウサギ:避妊・去勢手術

ワンちゃん「狂犬病」
すべてのワンちゃんは狂犬病予防法にのっとって年に1回狂犬病予防ワクチンを接種をする必要があります。
狂犬病は人や犬、猫などを含む全ての哺乳類に感染します。狂犬病は狂犬病ウイルスによって起こされる病気で、咬傷(咬むこと)により感染します。潜伏期間(咬まれてから発症まで)は1週間から1年で、平均は1カ月です。ワンちゃんの症状としては、挙動の異常や食欲不振から始まり、人に咬みつくなどの凶暴化、さらには麻痺を起こし衰弱、最後は死に至ります。この凶暴化した時期に唾液中にウイルスが排泄されており、咬み傷を介して他の動物へ伝播し(感染、広がり)ます。予防方法はありますが、治療方法はないため安楽死のみとなります。
予防には狂犬病ワクチンを定期的に接種する必要があります。
飼い主さんは生後3ヶ月齢以上(91日以上)のワンちゃんを市や町に狂犬病接種後に狂犬病接種証明書を持参し登録します。その後、毎年一回の狂犬病ワクチンの予防接種をワンちゃんに受けさせることが義務付けられています。
狂犬病ワクチンは動物病院ではいつでも受けることができます。毎年一回必ず注射をしましょう。

ネコちゃん「猫のフィラリア症」
徐々に暖かい日も増え、蚊の活動が始まる時期になりました。ワンちゃんでは蚊が媒介する寄生虫として犬糸状虫(フィラリア)がよく知られていますが、この寄生虫は本来の宿主ではないため感染率は3~5%ぐらいと低いものの、猫ちゃんにも寄生することがあります。猫ちゃんが蚊に刺されフィラリアの感染が成立すると、主に肺動脈に寄生します。症状が見られないこともありますが、虫体やその分泌物により血管に炎症を起こし喘息のような咳や呼吸困難を起こしたり、嘔吐や下痢といった症状を示すこともあります。慢性化してくるとよく寝るようになり、体重が落ちてきたりもします。寄生した虫体が死滅すると、虫体が肺動脈につまったり、虫体へのアレルギー反応によりアナフィラキシーショックを起こしたりすると、突然の呼吸困難になり、虚脱して突然死することもあります。猫のフィラリア症は寄生数も少なく検査で偽陽性になったり、反応しなかったりすることもあり診断が難しく、治療も対症療法になることが多くなるため、予防が大事になります。蚊に100%刺されなくするのは室内飼育でも難しいため、予防は月に一回の投与などで行うことになります。蚊が見られるようになったら、病院でご相談ください。

ウサギさん「避妊・去勢手術」
お宅のウサギちゃんは、避妊手術や去勢手術をされていますか?生殖器の病気は避妊・去勢手術をすることによって予防することができ、より長生きさせることができます。
避妊していないメスのウサギちゃんの場合、気付かないうちに腫瘍や内膜炎等の子宮の病気にかかっていることがあります。ウサギちゃんの子宮の病気で最も多いのは子宮腺癌で他にもさまざまな腫瘍が発生します。発症年齢も若く、2歳以上のウサギさんではリスクが増えます。おしっこに血が混じるなどの症状を認める場合もありますが、もともとウサギちゃんのおしっこは色が濃いため、出血が少ないと気付かれなかったり、症状を全く認めず、避妊手術をしたときに腫瘍に気づかれるということもあります。また、オスほどではありませんが人や他のウサギちゃんに対して攻撃性を示すことがあり、避妊手術を行うことで攻撃性を減らすことができます。
去勢していないオスのウサギちゃんの場合、睾丸に炎症が起こったり腫瘍化することがあります。特に、睾丸腫瘍はその多くが高齢になると発症し腫瘍が大きくなるとお尻周りが汚れたり、腫瘍から出血したりして、大きな問題になることがあります。高齢で発症するため、腫瘍化してしまった場合、手術のリスクが少なからずあります。また、尿をあちこちにスプレーしたり、人に対して交尾行動を行ったり、人や他のウサギちゃんに対して攻撃性を示すことがありますが、去勢手術を行うことによって、このような行動を減らすことができます。
避妊・去勢手術は全身麻酔をかけて行いますので、もちろん麻酔に伴うリスクは少しあります。しかし、将来起こりうる病気を予防できるため、手術を行わない子たちよりも長生きできることが多くなります。繁殖を考えていないのであれば、若くて健康なうちに避妊・去勢手術を受けさせることをお勧めいたします。もし、今飼われている子が高齢である場合には、かかりつけの動物病院で健康診断を受けられたうえで、手術するべきかご相談ください。