コラム

ウサギさん:うさぎの熱中症

高温多湿の環境下で、体温が放散できないことによって体に異常が生じるのが熱射病、そして直射日光にさらされることにより生じる異常が日射病ですが、これらを総称して熱中症といいます。

人間は汗をかくことで体温調節をしますが、うさぎは汗をかけないので、体温調節が苦手です。犬は、ハアハアと口を開けて行う「パンティング」とよばれる呼吸と、足裏にある肉球部分での発汗によって体温調節をしていますが、それでも人間より体温調節が苦手な動物として知られています。うさぎには犬猫のような肉球からの熱の放出はできませんので、熱中症への注意が必要です。うさぎの長い耳には放熱するという機能はありますが、耳が小さいタイプのうさぎでは特に体温調節が苦手です。28℃を超えるような環境だと熱中症になる危険性が高まります。

うさぎは、暑いと身体をできるだけ伸ばして、荒い呼吸をするようになりますが、これは身体の表面積を増やし、呼吸を速くすることによって熱を少しでも逃がそうとしている状態です。それでも体温調節が間に合わなくなると体温が上昇し、よだれを大量に垂らし、末梢血管が充血するため耳が赤くなります。さらに衰弱して、ふらつき、起立不能に陥ります。重篤になると意識障害を起こし、急速に血圧低下などのショック症状を起こし死に至ります。

応急処置としては、体温を徐々に下げるため、水で濡らしたタオルなどで全身を包みます。ただし、急激に体温を下げると危険なことがありますので、冷たすぎる水を使わないようにするなど注意をしましょう。意識があり、水が飲める状態であれば、新鮮な水を飲ませます。ここまでの応急処置をしながら、なるべく早急に動物病院に連れてきてください。

うさぎのいる部屋が25℃以上にならないよう、エアコンを使って室温を調節することが一番の予防になります。ただし、冷やしすぎてしまったり、エアコンの風が直接うさぎに当たったりしないように注意しましょう。その他、あくまでも補助的ではありますが、暑いときにうさぎが上に乗って放熱することができるように、市販のアルミ製のクールボード等を用意しておくのもいいでしょう。また新鮮な飲み水は必ず飲めるような状態にしておきましょう。日光浴をさせるときには、風通しのよいご家族の目の届くところで行います。必ずうさぎが自分で日陰の涼しい場所にも移動できるようにしておきましょう。