コラム
ワンちゃん「犬の認知機能不全症候群」
犬の認知機能不全症候群は、認知症とも呼ばれ、人の認知障害と類似します。ワンちゃんでは15歳以上で認知機能低下の兆候が見られやすくなります。兆候として、トイレの失敗、よく吠えるようになった、家族とのコミュニケーションの変化などがみられることが多いです。これは加齢に伴った脳の生理的な変化や、神経伝達機能活動の低下が原因といわれています。犬種としては、日本犬系の雑種や、ヨークシャーテリアでみられることが多いです。
犬の認知機能不全症候群は完治させられるものではないですが、進行を抑えたり、ワンちゃんや飼い主さんの生活の質を上げたりする事が充分に可能です。加齢に伴うものであるとはいえ、家族の一員である大切なワンちゃん、できるだけ進行を抑えたいところです。
治療として、環境修正、行動修正、栄養的介入、薬での療法がありますが、一般的に重要なのは環境修正です。おうちの中を、犬に優しい環境にしてあげましょう。トイレに行きやすく、足元には滑り止めを敷いてあげるといいでしょう。視力が低下しているワンちゃんには、障害物のない通路を確保してあげましょう。
また、行動修正として、ストレスのない環境と、適度な運動や知育トイを使ったトレーニングを取り入れてあげましょう。こまめにトイレに連れて行ってあげ、失敗しても叱らないことが大切です。
認知機能不全症候群は、早期発見と早期治療が一番大切です。症状が重くなる前に、老齢のワンちゃんの認知機能の状況や進行状況のチェックをする「犬の痴呆 診断基準100点法」というチェック表があります。これらを使い早めに認知症予備軍をみつけることが重要です。ワンちゃんと飼い主さんが幸せいっぱいで過ごせるように、暮らしの質の向上につながる工夫を始めてみましょう。