コラム
ウサギさん「うさぎの胃拡張」
かつて、うさぎさんの消化器障害に基因する食欲不振などの原因は「毛球症」と呼ばれており、一つにまとめられていたこともあったのですが必ずしも毛球だけが原因というわけではありません。
現在では、うさぎさんの消化器障害を「急性胃拡張」「鼓脹症」「毛球症」「食滞・うっ滞」などと区別されるようになりました。しかし、獣医学的な分類はされていないため、獣医師によっては名称が違うということもあります。中でも今回ご紹介する胃拡張は、短い時間で症状が進んでいき、命に関わる恐ろしい病気です。子宮ガンと並んで最も命を落としてしまう可能性のある病気の一つとも言われているので、十分に注意しなければいけません。生後半年の個体でも、10歳である個体でも、オスメスに関係なく突然発症することがあります。胃拡張は早期発見と早期治療によって、個体のその後の明暗が分かれるため、飼い主さんは異変に気付き次第、すぐに動物病院へ連れて行ってあげるということが大切になります。
うさぎさんの胃拡張の原因は未だに特定されていません。「急激な温度変化」「急な季節の変わり目」「突然の換毛」「グルーミング」など様々な要因が考えられます。様々な要因で胃拡張になることがあるので、飼っているうさぎに異変が見られた場合にはすぐに診察を受けましょう。
うさぎさんの胃拡張の症状として「突然、食欲不振になる」「突然排泄をしなくなる」「激しい腹痛が起こる」といった点が見られるようになります。前日までしっかり食べていたのに食べなくなった、便が見られないなど突然起こる場合が多いです。また、激しい腹痛が起こることによって、「じっとして動かなくなる」「いろいろと姿勢を変える」「触られることを嫌がる」「歯ぎしりをする」といった症状が見られるようになり、さらに症状が悪化すると低体温症や痙攣することもあります。
うさぎさんの消化管はとてもにデリケートであり、ストレスが強くかかったり、低繊維の餌によって異常な発酵をすぐに起こし、機能不全になってしまいます。そのため、胃拡張にならないためにもまずはストレスの少ない飼育環境にしてあげることが重要となります。
また、良質な牧草を与えるということも予防に最適です。良質な牧草は、不正咬合の予防以外にも健康的な消化機能を保つことに必要なことです。
もし、胃拡張のような症状が見られて体温が下がっているようであればうさぎの体を温めてあげてください。その他には素人である私たちには対処する方法がないため、異変に気付いたらすぐに動物病院へ連れて行くということがとても大切になります。