コラム
エキゾチックアニマルさん「エキゾチックアニマルの熱中症」
夏になると、わんちゃんやねこちゃんの熱中症について耳にする機会が増えます。しかし、熱中症は犬さんや猫さんだけの病気ではありません。うさぎさん、フェレットさん、チンチラさん、モルモットさん、ハムスターさんなどのエキゾチックアニマルも熱中症を起こすことがあり、場合によっては短時間で命に関わる状態へ進行してしまいます。エキゾチックアニマルの多くは、人のように汗をかいて体温を下げることができず、体温調節能力も決して高くありません。そのため、気温だけでなく湿度や風通しの悪さの影響も受けやすく、高温多湿の環境では体内に熱がこもりやすくなります。
特にチンチラさんはアンデス山脈の冷涼な地域を原産としているため暑さに非常に弱く、気温が25℃前後でも熱中症を起こす可能性があります。フェレットさんも汗腺がほとんどないため体温を逃がすことが苦手で、室温が28℃を超えるような環境では注意が必要です。うさぎさんも耳から熱を放散して体温調節を行いますが、その能力には限界があり、高温多湿の環境では容易に体温が上昇します。ハムスターさんやモルモットさんも体が小さいため環境温度の影響を受けやすく、ケージ内の温度が急激に上昇すると短時間で体調を崩してしまうことがあります。
熱中症は炎天下だけで起こるものではありません。締め切った室内や風通しの悪い部屋、直射日光が当たる窓際では、室温以上にケージ内の温度が上昇することがあります。また、「少しだけだから」とエアコンを切って外出したり、動物さんを車内に残したりすることは非常に危険です。真夏の車内はわずか数十分で40℃以上になることもあり、命に関わる事態につながります。初期症状としては、元気がない、食欲が落ちる、普段より動かない、呼吸が速いなどの変化がみられます。さらに進行すると、ぐったりして横たわる、ふらつく、意識がぼんやりする、痙攣を起こすなどの重篤な症状へ発展します。熱中症では脱水だけでなく、腎臓や肝臓などの臓器障害、血液が固まりにくくなる凝固異常、多臓器不全を引き起こすこともあり、見た目以上に重症化しているケースも少なくありません。
熱中症が疑われる場合は、まずエアコンの効いた涼しい場所へ移動させ、体温をゆっくり下げることが大切です。濡らしたタオルで体を軽く冷やしたり、タオルで包んだ保冷剤を体の近くに置いたりすると効果的ですが、氷水で急激に冷却したり、保冷剤を直接体に当て続けたりすることは避けましょう。飲めるようであれば少量ずつお水を飲んでもらいますが、無理に飲ませる必要はありません。症状が改善したように見えても、体内では脱水や臓器障害が進行していることがあるため、できるだけ早く動物病院を受診してください。
熱中症を予防するためには、何よりも環境管理が重要です。夏場はエアコンを利用し、室温だけでなく湿度にも注意しましょう。留守番中もエアコンを切らず、ケージは直射日光の当たらない場所へ設置します。また、新鮮なお水を常に用意し、保冷プレートや大理石プレートなどを設置して、動物さん自身が快適な場所を選べる環境を作ることも有効です。
エキゾチックアニマルは、不調を隠す習性をもつ種類が多く、「少し元気がない」「いつもより寝ている時間が長い」といったわずかな変化が重い病気のサインであることもあります。暑い季節は特に、毎日の食欲や活動性、体重を確認し、少しでも異変を感じたら早めに動物病院へ相談しましょう。大切な家族が元気に夏を乗り切るためには、飼い主さんによる適切な温度・湿度管理が何よりの予防になります。「まだ大丈夫」ではなく、「暑くなる前に対策する」。その心がけが、エキゾチックアニマルの大切な命を守る第一歩です。
