コラム

ワンちゃんと感染症

ワンちゃん
時折、お子さんをお持ちの飼い主さんから「その病気は人にうつりますか?」と聞かれます。犬と人は種が異なりますから人に感染する病気はあまりありません。歴史を見ても、人と犬が一緒の生活をするようになって数千年もたっています。人にとって大変安全な動物であることが分かります。身近にある病気でワンちゃんから人にうつる病気は少しはあります。今回は全てではありませんが、身近なワンちゃんが遭遇する感染症で人にもうつる病気を紹介しましょう。
仔犬の検便をした時によく出てくるのが回虫ですが、回虫は人にうつることがあります。回虫卵はワンちゃんの回虫が寄生している犬の毛やお尻に付着していて、そのワンちゃんを触ったりキスしたりすることで人の口に入り感染します。何年か前に公園の砂場に落としたネコちゃんやワンちゃんの糞から回虫が子供にうつるとかで騒がれましたが、ここ最近はむしろ飲み屋で出てくる地鶏のレバ刺しや、牛や豚の肉やレバーを生で食べた場合の方が多いそうです。また、回虫に感染するとよっぽど免疫が下がっている人でない限り、ほとんどの人は気付かないうちに治ってしまいます。まれに、人が発症すると肝臓が腫れ、抗生物質を飲んでもきかない熱を出します。
カビもワンちゃんから感染することがあります。人に感染すると皮膚に丸い紅班ができます。いわゆるタムシやミズムシといわれるものですが、最近は犬小胞子菌というカビが原因であることが多いようです。このカビに感染したワンちゃんは脱毛し、痒みを起こしていますのでそのワンちゃんを触った後にそのような皮膚炎を起こした時は皮膚科で診てもらった方がよいでしょう。 他にもワンちゃんからうつる感染症はありますが、むやみに不安を持つのではなく、正しい知識を持ち、手洗いの励行、むやみにキスをしない、健康診断を定期的に受ける、ワクチンや駆虫などの予防、などを心がけることで人と犬との共通する伝染病を予防することが出来ます。

 

ネコちゃん
お宅のネコちゃんは不妊、去勢手術をしていますか?不妊、去勢手術は子供を作らないようにするためだけではなく、性ホルモンに関係する病気を予防したり、問題行動を改善したりする効果があります。
去勢をしていない男の子は性成熟すると自分の縄張りに臭いおしっこをかけたり、発情期に大きな声で鳴いたりするようになりますが、去勢手術をすることでこのような問題行動をなくすことができます。また去勢すると精巣腫瘍や前立腺の病気を予防することができます。
女の子の場合は不妊手術をすることで卵巣や子宮の病気、特に子宮蓄膿症や乳腺腫瘍といった致命的な病気を予防することができます。

不妊、去勢手術のデメリットとして太りやすくなるという問題がありますが、きちんと食餌管理をすれば肥満になるのを防ぐことができます。妊娠を望まないのであれば、ネコちゃんのためにも不妊、去勢手術をすることをお勧めします。

 

ハムスターちゃん
お彼岸も過ぎ、急に涼しい日が多くなってきました。お宅のハムスターちゃんは鼻水をたらしたり、くしゃみをしたりしていませんか?急な気温の変化は体調をくずす原因の一つになります。鼻水やくしゃみなどの症状は細菌やカビ、ウイルスなどの感染ででることが多いのです。ひどくなると肺まで感染が広がり呼吸が荒く苦しくなってきます。ここまで進行すると命にも関わってきます。また、呼吸が苦しくなる症状は呼吸器の感染症の他に心臓の病気でもおこる症状です。ハムスターちゃんは1才以上になると心臓の病気も増えてきます。心臓の機能が低下すると全身にうまく血液が送れなくなりお腹や肺に水がたまり呼吸が苦しくなるのです。悪くなった心臓は治療しにくいのです。進行を抑えるお薬や、たまった水を出すお薬もありますので、症状を軽くすることが出来ます。毎日ハムスターちゃんの状態を見て、少しでもおかしいと思ったらすぐ病院へおいでください。