コラム

ハリネズミさん 「ハリネズミのリンパ腫」

ハリネズミは腫瘍になりやすいと言われ、腫瘍は高齢になるほど発生しやすいので、年をとっているハリネズミは十分に気を付けなければいけません。「リンパ腫」とは、血液の癌の一つで、白血球中のリンパ球が癌となったものです。この癌が発生する部分は、大きく分けると「リンパ系組織」と「リンパ外臓器(節外臓器)」の2つになります。
リンパ系組織は、細菌やウイルスといった病原体を除いたり、免疫機能を役割とする組織や臓器で、リンパ節や胸部付近にある胸腺、脾臓、扁桃などを指します。リンパ外臓器は、骨髄や肺などといった臓器になります。リンパ系の組織や臓器は全身にあるので、リンパ腫は身体全体の部分で発生する可能性があります。
体表近くの場合は、しこりや腫れで気付くことが多いでしょう。また、腫瘍のある場所の針が抜け落ちたり、皮膚に炎症が見られることもあります。他にも、体重が減る、食欲がない、元気がない、下痢、呼吸困難、腹水などが見られる場合もあります。
治療は、腫瘍の種類や発生場所、進行度合い、個体の全身状態によって様々です。状況によっては摘出手術によって治すことも可能です。また、抗がん剤などの化学療法も用いられることがあります。個体の状況や飼い主さんの希望によっては、積極的な治療はせずに起こる症状を和らげる治療に止め、生活の質を上げることを優先する場合もあります。
「こうすれば腫瘍やリンパ腫にならない」という方法はありませんが、適切な飼育と日頃の健康チェックを行うとともに、定期的な健康診断を受けて早期発見に努めましょう。早期発見してあげることで、命を救える可能性が十分に上がります。