コラム

ウサギさん 「うさぎの寄生虫疾患②」

外部寄生虫

ウサギさんの皮膚疾患は多く、湿性皮膚炎やトレポネーマ症などの細菌性皮膚疾患、足底皮膚炎、皮膚糸状菌症など様々な疾患がみられますが、そのうち1~2割が寄生虫疾患といわれています。

 

■ツメダニ症

ツメダニ症はよくみられ、皮膚寄生虫疾患の約8割を占めます。ツメダニ症はウサギツメダニ(Cheyletiella parasitivorax)の寄生により起こります。このダニが感染すると、後頭部から頚背部や臀部(おしりから腰のあたり)にかけて大きな落屑(フケ)や脱毛が認められます。多くの場合、掻痒感があり後肢で引っ掻いてしまうため痂皮(かさぶた)ができていることもあります。しかし、掻痒感が全くないこともあるので、皮膚の落屑や痂皮に気が付かないこともあります。検査は、セロハンテープで落屑を採取し、顕微鏡でダニやダニの卵を検出します。治療は、背中に滴下するタイプのお薬を投与したりします。

 

■ズツキダニ

ズツキダニ(Listrophorus gibbus)は時折みられますが、ツメダニと同時に寄生していることもあります。ズツキダニはツメダニに比べて掻痒感を伴わず、症状がわかりにくいのが特徴です。検査や治療は、ツメダニ症と同様に行います。

 

■ヒゼンダニ(疥癬)

ウサギで疥癬がみられることはまれであり、眼瞼縁、鼻、口唇、前肢(爪)などに寄生し、角質の堆積がみられます。疥癬は激しい痒みを引き起こすため、ひっかき傷による二次的な創傷を伴うこともあります。

 

■ノミ症

家庭内のみで飼育している場合、感染することは非常にまれですが、ウサギに寄生するノミはイヌノミやネコノミが多く、犬や猫が同居しているご家庭では注意が必要です。

 

■ハエ蛆症

海外で報告されているような屋外飼育のウサギに発生する皮膚ハエ蛆症とは異なり、国内の場合、肥満や脊椎疾患などにより盲腸糞や尿が鼠径部や肛門部に付着したまま不衛生になりやすく、それに加えて環境の衛生管理の悪さが発生原因となります。