コラム
フェレットのアリューシャン病
最近、じわりじわりとフェレットに忍び寄っている恐ろしい伝染病、それがアリューシャン病です。アリューシャン病は家畜のミンクの間で大流行したことがあります。 感染初期はほとんど症状が出ないため、発病まで発見されないことが多く、発病後の死亡率は100%とも言われています。ここ数年、感染が確認されたフェレットが増加しています。
アリューシャン病の病原体であるアリューシャン病ウイルス(ADV)が原因です。ADVに感染したフェレットの唾液、尿、糞便に接触することで感染します。空気感染の可能性も指摘されていますが、まだ証明されていません。
感染初期はほとんど症状がなく、後期になって様々な症状が出ます。特に感染が疑われる症状は、進行性の衰弱と体重減少、慢性の咳や下痢、突然の後肢の麻痺などです。
ADV抗体検査(採血して血清中の抗体を検出する方法)で診断します。
輸液や抗生剤の投与など症状に合わせた支持療法 (※病気の根本的な治療ではなく、その症状を改善するだけの治療のこと) を行いますが、完治は困難です。最近は免疫賦活剤やインターフェロンの使用も試みられ、効果が確認されています。 アリューシャン病の完治は困難ですが、早期発見早期治療が回復のカギです。原因不明の症状がある場合や、健康診断の時にADV抗体検査をおすすめします。
他のフェレットと接触させないというのは原則ですが、実際は購入時にすでに感染しているケースが多いと思われます。ウィルスは唾液、糞尿に排泄されるので、直接感染フェレットと接触しなくても感染の可能性があります。人間がウィルスを仲介してしまう可能性もあるので、他のフェレットを触った手で自分のフェレットを触らないように心がけましょう。