コラム

フェレットのIBD(炎症性消化管疾患)

IBD(炎症性消化管疾患)は、胃腸に炎症が起きることによって長期的な食欲不振や下痢を招いて衰弱してしまう慢性病で、治療には早期診断早期治療が不可欠です。

 

IBDの原因として考えられるのは、胃腸の免疫機能に刺激を与えるような物質です。原因物質は特定されていませんが、アレルギーを起こす食物がIBDの原因と考えられています。その他の原因としては、ウイルスや寄生虫の感染が考えられます。 IBDは他の病気と併発することが多く、副腎腫瘍やインスリノーマのフェレットの30~50%にIBDが見られます。そして、副腎腫瘍やインスリノーマによる体重減少や低血糖などの症状を悪化させます。

 

症状は、重症でなければ、ほとんど無症状です。元気なのに徐々に体重が減っていく場合もあります。胃の不快感のために歯ぎしりをしたり、手で口を引っかくなどの行動を示す場合もありますが、病気がかなり進行するまで、無症状でいることが少なくありません。 病気が進行すると、便の異常が現れます。粘液便、緑色便、タール便(チョコレートが溶けたような便)や小鳥の餌状のつぶつぶ便などいろいろです。便の異常は慢性的に経過するのが一般的ですが、中には、突然下痢を起こして衰弱するケースもあります。 さらに病気が進行すると、著しい体重減少と吸収不良が起こります。慢性的な炎症は、胃腸にとどまらず、肝臓や食道にまで広がります。また慢性的な消化管の炎症はリンパ腫の原因となります。肝炎を併発することもあります。

 

決定的な治療法は今のところ確立されていませんが、対応次第では症状を改善させ、フェレットの寿命を延ばすことができます。

 

(1)食事療法

IBDの治療に食事療法は欠かせません。チキンやビーフに対するアレルギーやフードに添加されている科学物質の刺激がIBDを誘発する可能性が指摘されています。幸い、それに対する専用フード(猫用)があります。食欲がない場合は、フェレット専用流動食を強制的に与える必要があるかもしれません。

 

(2)薬による治療

IBD治療に使用する薬物は、抗生剤、ステロイド剤を中心に、胃酸抑制剤や整腸剤を併用する場合があります。これらの薬剤で効果がない場合やステロイド剤の長期投与で副作用が心配な場合は、免疫抑制剤を使用します。