コラム

ウサギさん 「皮膚のできもの① 膿瘍」

うさぎさんの体表に、できものやしこりを発見した場合、その正体がまったくわからないと、不安になるでしょう。正体が予想できたとしても、家でしてあげられることは多くはないかもしれません。ですが、まったく予想がつかないよりも、漠然とでも予想できた方が、得体のわからない怖さからは解放されます。正体がわからなければ、どうしてあげるのがいいのか、判断が難しくもなります。正体が予想できれば、対応策もみつけやすくなります。

 

今回は、うさぎさんの皮膚のできもの(しこり)や、腫瘍で見かけることが多いものを、6パターンにわけて解説します。

 

まず1回目は膿瘍です。

① 膿瘍

うさぎさんの皮膚にできる、 できもの(しこり)の大部分がこの膿瘍です。膿瘍は全身の皮膚に発生しますが、顔面周囲に非常によく発生します。膿瘍は表在性膿瘍と深在性膿瘍に分類されます。表在性膿瘍は字の表す通り、表層に発生します。深在性膿瘍は組織の深部に形成されます。表在性は外科処置で完治することがほとんどですが、深在性膿瘍はほとんどの場合、一般的な治療では再発します。

 

表在性膿瘍では、できものを持つと動かすことができ、できものの輪郭が皮膚を通して感知できます。それに対し、深在性膿瘍では、できものは深部に固定されていて、動かすことはできずに、輪郭ははっきりと感知できません。

 

初期には元気食欲がありますが、治療をせずに放置すると、敗血症から肝炎や腎炎に進行します。そして食欲不振や衰弱がみられるようになります。顔の、特に口回り、顎と頬と目の下のできものは膿瘍を強く疑ってください。