コラム
ウサギさん「皮膚のできもの② 乳腺腫瘍」
うさぎさんの体表に、できものやしこりを発見した場合、その正体がまったくわからないと、不安になるでしょう。正体が予想できたとしても、家でしてあげられることは多くはないかもしれません。ですが、まったく予想がつかないよりも、漠然とでも予想できた方が、得体のわからない怖さからは解放されます。正体がわからなければ、どうしてあげるのがいいのか、判断が難しくもなります。正体が予想できれば、対応策もみつけやすくなります。
今回は、うさぎさんの皮膚のできもの(しこり)や、腫瘍で見かけることが多いものを、6パターンにわけて解説します。前回は膿瘍でした。2回目は乳腺腫瘍です。
② 乳腺腫瘍
うさぎさんの乳腺腫瘍はお腹側の乳腺にできるので、発見して分類しやすいできもの(しこり)です。(ただし、若齢のうさぎさんの乳腺では発情や偽妊娠によって乳腺過形成がよく起こりますが、これは乳腺腫瘍ではありません。ほとんどは発情とともに治まります。)基本的には、うさぎさんの乳腺腫瘍は雌に発生します。
うさぎさんの乳腺腫瘍では通常、疼痛(痛み)はありません。転移や傷がなければ元気食欲は正常です。悪性の乳腺腫瘍であった場合は、未治療では一年以内に転移することが多いです。
うさぎさんの乳腺癌は大きくなるスピードは遅いですが、自壊するまで大きくなることが多いです。そして、うさぎさんの乳腺癌は肝臓や肺、付属のリンパ節に転移しやすい性質があります。
乳腺腫瘍を発症するうさぎさんは12ヵ月齢までに避妊手術を終わらせていないことがほとんどです。犬猫と同様、うさぎさんの乳腺腫瘍の予防に早期の避妊手術は有効です。
うさぎさんの乳腺腫瘍の一般的な治療では乳腺腫瘍の摘出だけでなく、避妊手術も同時に行います。このとき、乳腺腫瘍を発生したうさぎさんの子宮では、何らかの病気が見られることがほとんどです(子宮腺癌など)。