コラム

ネコさん 「ネコさんのエーラス・ダンロス症候群」

ネコさんのエーラス・ダンロス症候群とは、発生はまれですが、特徴的な皮膚の症状を表す先天性の結合組織疾患です。

皮膚が異常に脆弱で、落下や咬傷などケガの心当たりがないのに皮膚が裂けている、ケガをしている、だっこした後に傷ができていたなど、ネコさんの日常生活の動作の中でも皮膚が損傷してしまうことがあります。

 

生まれつき、皮膚や靭帯、血管などを構成するコラーゲンの構造や量に異常があり、皮膚を軽く引っ張るだけで驚くほど伸びる「皮膚過伸展」が確認されます。

裂けた皮膚は縫合しても保持力が弱く、治癒に時間がかかる傾向があります。

また、皮下出血や関節が不安定になり歩行に異常が生じるなどの症状がみられることもあります。

 

診断は、症状や身体検査所見、皮膚の伸展性や裂傷の起こりやすさが重要な手がかりになり、確定診断には皮膚生検による組織学的評価を行うこともあります。

 

エーラス・ダンロス症候群を根本的に治す治療法はなく、皮膚損傷を防ぎ、起きてしまった傷をいかに丁寧に管理するかということがとても大切です。

ネコさんによっては、軽い衝突やグルーミングなどの刺激でも皮膚損傷が生じてしまうため、日常生活の中に常にリスクが潜んでいます。

爪切りをこまめに行なったり、皮膚を物理的な刺激から守るためのお洋服の着用、生活環境の工夫、同居動物との接触の見直しなどがとても重要になります。

また、傷の縫合など外科的な処置が必要になった場合、皮膚が脆くて傷の治りが遅いため、縫合方法や術後管理に細心の注意が求められます。

 

エーラス・ダンロス症候群は珍しい病気ですが、ご家族が知っているかどうかで、対応が大きく変わる可能性があります。

おうちのネコさんの皮膚の伸びが目立つ、原因不明の裂傷を繰り返しているなどの違和感がある場合は、単なる外傷として片付けず、背景にこのような体質が隠れている可能性を考えることが、おうちのネコさんの安全と生活の質を守ることに繋がります。

おうちのネコさんの体質を理解し、無理をさせないこと、環境を整えてあげることは、とても大切なご家族の役割です。

ご心配なことや気になる症状がございましたらご相談ください。