コラム

ネコちゃん「ネコさんの嘔吐」

ネコさんは、わんちゃんと比べて吐きやすい傾向がありますが、病気でない場合と、病気のサインの場合の両方が考えられ注意が必要です。

 

わんちゃんとネコさんの食道は解剖学的に違いがあります。

わんちゃんの食道はほぼ全長(約90〜100%)が横紋筋(随意筋)で構成されており、嚥下運動をコントロールしやすく、吐出が多い傾向があります。

一方、ネコさんの食道は上側の約2/3が横紋筋、下側の約1/3が平滑筋で構成されており、わんちゃんとは筋肉の分布が異なります。

ネコさんは食べ物の大きさや形状によっては食道から胃への食塊の流れが悪くなり、健康なネコさんでも嘔吐が生じやすいという特徴があります。

 

嘔吐と吐出は原因や意味が異なるため区別が重要です。

嘔吐は胃や腸の内容物が逆流する現象で、吐く前によだれやえづき、腹部の動きなどが見られ、内容物もある程度消化されたものや胃液を含みます。

吐出は食後すぐに起こりやすく、前兆がほとんどなく、未消化のフードがそのまま出てくるのが特徴です。

 

ネコさんに定期的に嘔吐が認められた場合、それが多いかどうかという判断は個体によって異なります。

ネコさんが毛玉を吐き出す頻度については、正確なデータはありませんが、健康な短毛種の飼育ネコさんの毛玉を吐く頻度について、年に1回以下が約45%、年1回が約30%、年2回以上が約25%という報告もあります。

一方、長毛種のネコさんでは年1回以下が約25%、年1回が約20%、年2回以上が55%と、長毛種は短毛種に比べて毛玉を吐く割合が多いとされています。

ネコさんの嘔吐や吐出の頻度は、毛の長さやネコ種、食べ物の性状などさまざまな要因に影響を受ける可能性があります。

 

ネコさんの嘔吐の原因は

・生理的な嘔吐

・腹圧の上昇(咳、食後の運動、ガツ食い、食べ過ぎなど)

・ごはんの影響

・毛づくろいによって飲み込んだ被毛の嘔吐、毛球症

・胃腸のはたらきの低下

・消化器疾患(胃炎、腸炎、炎症性腸疾患、膵炎など)

・内臓疾患(慢性腎臓病、肝臓疾患、甲状腺機能亢進症、糖尿病など)

・お薬やワクチンなどの影響

・腫瘍

・中毒

・異物の誤食

などが挙げられます。

頻度が低く、元気や食欲に問題がなければ経過観察が可能なこともありますが、嘔吐を繰り返したり、体重減少がみられる場合は、注意が必要です。

 

受診の目安としては、

・1日に何度も吐く

・食べてもすぐに吐いてしまう

・元気や食欲が低下している

・体重の減少

・吐物に血液や黒色(消化された血液を示唆)が混じっている

・異物誤飲の可能性がある

などが挙げられ、できるだけ早めに動物病院を受診することがとても大切です。

 

ネコさんの嘔吐は日常的に見られる症状であるとともに、その背景にさまざまな疾患が隠れている可能性もあります。

いつも吐くから大丈夫、と判断せず、嘔吐の頻度やタイミング、内容物、元気や体重の変化などのご様子を観察することが、早期発見と適切な治療につながります。

少しでも気になる点があれば、早めにご相談ください。