コラム

ネコちゃん 「実は恐ろしい猫の“ノミ”」

残暑も和らぎ、段々と涼しくなってきました。夏にはあんなに沢山いた虫を見かける機会も減ってきましたね。しかしながら、ネコちゃんがいらっしゃる家庭ではまだまだ安心できません。「ノミ」という昆虫をご存知でしょうか?

 

ノミは様々な動物に寄生し、吸血します。このノミがネコちゃんに寄生してしまうと、甚大な被害を及ぼしてしまうのです。

 

①貧血

子ネコちゃんに多いのですが、ノミが多数寄生することで、貧血を引き起こしてしまいます。また、ノミは「ヘモプラズマ感染症」という、ネコちゃんの赤血球を破壊する病原体を持っていることがあり、これによっても貧血が引き起こされます。

 

②皮膚炎

ノミに吸血されると、強い痒みが生じるので身体を掻きむしったり引っ掻いてしまい、傷口ができてしまいます。この傷口に細菌が感染すると皮膚が化膿してしまいます(化膿性皮膚炎)。また、ノミが吸血する際に身体に注入する唾液がアレルゲンとなり、「アレルギー性皮膚炎」を発症してしまう事もあります。1度アレルギー性皮膚炎を発症すると、その後はわずかなノミが寄生するだけでも症状が出てしまうため、完治は困難です。

 

③瓜実条虫症

ノミの体内には「瓜実条虫」というサナダムシの仲間がいることがあります。瓜実条虫は、ネコちゃんの腸に寄生して下痢を引き起こします。

 

④毛がボサボサに

ノミが寄生することで、毛の艶が失われ、ボサボサになってしまい、酷い場合には脱毛が広範囲に生じることもあります。

このように、ネコちゃんにノミが寄生するデメリットは沢山あります。その上、私たち人間にも悪影響をもたらします。ノミは人間も吸血するので、ネコちゃんと同じように痒みや皮膚炎を生じてしまいます。また、ノミを介してネコちゃんに伝播される「バルトネラ菌」は「猫ひっかき病」を引き起こします。ネコちゃんでは無症状ですが、ネコちゃんに引っ掻かれたり噛まれることで人に感染すると、傷口が化膿したり、発熱、リンパの腫れがみられます。免疫が低下していると重症化する事もある恐ろしい感染症です。更に、頻度は低いですが、腹痛や下痢を訴えた人間が「瓜実条虫」に寄生されていたという報告もあります。

 

 

ノミは、気温が約13度以上であれば繁殖が可能なため、暖かい室内では1年中発生する可能性があります。お外が涼しくなっても油断はできません。

 

ノミを防ぐためには、お部屋のこまめなお掃除は勿論のこと、できるだけネコちゃんをお外に出さないことも大切です(交通事故やケンカによる怪我も防止できます)。人間にくっついてきてしまうこともあるので、緑の多い場所へ出向いた際はお家に入る前に、洋服や靴に虫がついていないかチェックしましょう。また、ネコちゃんの首筋に垂らすタイプのお薬も有効です。「ノミと思われる虫を見つけた」「ネコちゃんが痒がっている」「毛並みがボサボサで脱毛している」場合には、すぐに動物病院でご相談ください。