コラム

ウサギさん「ウサギ梅毒(トレポネーマ症)」

うさぎさんの体表に、できものやしこりを発見した場合、その正体がまったくわからないと、不安になるでしょう。正体が予想できたとしても、家でしてあげられることは多くはないかもしれません。

ですが、まったく予想がつかないよりも、漠然とでも予想できた方が、得体のわからない怖さからは解放されます。

正体がわからなければ、どうしてあげるのがいいのか、判断が難しくもなります。正体が予想できれば、対応策もみつけやすくなります。

 

今回は、うさぎさんの皮膚のできもの(しこり)や、腫瘍で見かけることが多いものを、6パターンにわけて解説します。

これまで、膿瘍、乳腺腫瘍、精巣腫瘍、陰嚢ヘルニアのお話をしてきました。今回はウサギ梅毒(トレポネーマ症)です。

 

⑤ ウサギ梅毒(トレポネーマ症)

ウサギ梅毒は生殖器スピロヘータ、トレポネーマ症とも呼ばれます。Treponema paraluis-cuniculi の感染によって発症します。

ウサギ梅毒の症状としては、紅斑・腫脹・痂疲(鼻孔、口唇、眼瞼、陰部、肛門周辺)、鼻汁、くしゃみ、流涙、眼脂(目やに)、排尿障害 などがあります。

ウサギ梅毒では痂疲が鼻孔、口唇、眼瞼、陰部、肛門周辺にできますが、このときに痂疲が厚くなって できもの のように見えることがあります。まれに目のふちにも痂疲の できもの ができることがあります。

雌のうさぎさんでは子宮内膜炎を引き起こし、流産や不妊の原因になることもあります。また、ウサギ梅毒は感染しても発症しないことも多いです。発症要因としては不適切な飼育環境やストレスによる免疫抑制があります。