コラム

ワンちゃん「狂犬病について」

世界情勢は不安定ですが、日本を訪れる外国人観光客も増え、海外旅行に行く人も去年の倍以上に増加しています。そこで今回は、国内では撲滅されているものの未だ世界中で猛威を振るう狂犬病について考えてみましょう。

 

狂犬病は、狂犬病ウイルスによる感染症でワンちゃんだけではなく人間など様々な動物に感染します。発症してしまうと有効な治療法が確立されておらず、100%死に至ります。日本国内では1956年を最後に狂犬病の発生はなく、数少ない清浄国に認定されています。

 

狂犬病の潜伏期間は1週間から数カ月と幅広く、症状が出る前に唾液にウイルスの分泌が始まります。症状は主に神経症状で、無気力になったり逆に攻撃的になったりします。音や光に過剰に反応することもあります。最終的には麻痺がおこり、歩けなくなったり物を飲み込めなくなり、死に至ります。

‘狂犬病’という名前からワンちゃんが媒介する印象が強く持たれがちですが、キツネやタヌキ、コウモリなどの野生動物の媒介動物となりえます。野犬はもちろん、野生動物にもむやみに近づかないようにしましょう。

 

さて、この恐ろしい病気がもし国内に侵入してしまった時にワンちゃんを守ってくれるのが狂犬病ワクチンです。狂犬病ウイルスを不活化した(死滅させた)ものから作られるワクチンで、これを打つことにより免疫が狂犬病ウイルスの特徴を覚えて抗体を作ってくれます。しかし、この抗体がしっかり作られる期間は長くないため、定期的に接種して免疫に思い出してもらう必要があります。日本では生後3~4カ月以降、年1回の接種が義務付けられています。

 

ワクチンと聞くと、インフルエンザやコロナのワクチンのように熱が出るなどの副反応を心配する方もいると思います。狂犬病ワクチンは比較的副反応が少ないとされていますが、中にはアナフィラキシーショックのような重篤な副反応が出てしまうこともあります。ワクチンを打った後はワンちゃんの様子を必ず観察し、また運動は極力控えましょう。万が一体調が悪くなる場合にはすぐに病院に相談するようにしましょう。

 

アレルギーなどで接種が免除される一部の場合を除き、全てのワンちゃんにワクチン接種が義務付けられています。ワンちゃんのためだけではなく、飼い主さんや周りの人たちも守るために、必ずワクチンを打つようにしましょう。