コラム
ネコちゃん 「猫の尿石症について」
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
今年度もネコちゃん、ねこちゃんをはじめとする動物さんの健康を守り、病気の早期発見、その子にとって最善の選択肢のご提案を行い、飼い主さまやご家族の皆様に寄り添った医療が提供できるよう努めていく所存です。
昨年12月に続き、寒くなる、この季節に気を付けたい泌尿器のトラブルの1つ、ネコちゃんの尿石症のお話をします。
尿石症とは、猫下部尿路疾患(FLUTD)の代表的な病気の一つで、おしっこの成分が結晶化して、腎臓、尿管、膀胱、尿道などに結石ができてしまう病気です。
膀胱や尿道の粘膜を傷つけて感染症や炎症を起こしたり、尿道に詰まって、おしっこが出なくなってしまうことがあります。
尿石症になると、トイレの回数が増える、おしっこが少ない、血やキラキラしたものがおしっこに混ざる、おしっこがにおう、トイレ以外の場所でおもらしをする、外陰部を気にして舐める、などの症状が見られます。
初期症状が食欲不振や元気消失、嘔吐のみで、発見が遅れることもあります。
ネコちゃんの場合、トイレで長時間排尿の姿勢をしても量が少なく、痛みで唸ったり鳴くことがあったら要注意です。
結石が閉塞すると、おしっこの排出ができずに大量に溜まってしまい、腎臓を圧迫して急性の腎障害や、尿毒症の神経症状を起こす可能性があります。
腎臓は一度悪くなってしまうと回復しないため、治療が遅れると命に関わります。
結晶や結石ができる原因として、ごはんの偏り、飲水の不足、ストレス、おしっこの濃度、感染症などがあります。
尿石の種類は、若いネコちゃんに多いとされるストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)と、中高齢のネコちゃんに多いシュウ酸カルシウムの2つが代表的です。
ストルバイトは、感染症やミネラルの多いごはんなどが原因で、おしっこがアルカリ性になるとできやすくなります。
軽度の場合は、食事療法や抗生物質などの内科治療で、溶解できる可能性があります。
シュウ酸カルシウムは、たんぱく質の多いごはんを食べるなど、尿が酸性になるとできやすい結石です。
一度できてしまうと溶けることはなく、排泄されるのを待つか、外科処置が必要なこともあります。
去勢した肥満の男の子のネコちゃんでの発生率が高いといわれています。
冬は、体温を下げないため、自然とお水を飲む量が少なくなり、トイレに行く間隔も長くなります。
凝縮されたおしっこが膀胱に長い時間溜まっていると結石を形成しやすくなります。
予防のために、ネコちゃんにお水を飲んでもらう工夫をしましょう。
特にドライフードを食べているネコちゃんは、お食事から水分が取れないため、工夫が必要です。
お水のお皿を増やして、こまめに変えるなど、清潔なお水をいつでも飲める環境を整えましょう。
また、ドライフードにお湯やスープ、ウェットフードなどをトッピングすることも効果的です
尿石症予防のごはんもたくさん市販されていますが、結石の種類や既往歴などを考慮して、正しい選択をしなければ、効果が期待できません。
獣医師と相談して、その子に合ったごはんを選びましょう。
尿結石は、無症状のことも多く、検査で偶然見つかることもあります。
予防や早期発見のためには、定期的な健康診断や、ごはん、飲水量やおしっこの量や色を把握するなど、飼い主さまの協力が必要です。
気になること、ご不安なこと等ございましたら、ご相談ください。