コラム
ネコちゃん「猫のチョコレート中毒ついて」
バレンタインデーが近づき、百貨店やスーパーなどでチョコレートの特設コーナーをよく見かける季節となりました。
近年、ネコちゃんや肉球をモチーフとしたお菓子が流行っており、ネコちゃん好きのみなさまは、パッケージで衝動買いしてしまうことも多いのでは、と思います。
ただし、ネコちゃんモチーフのお菓子は、あくまで飼い主さま専用であり、ネコちゃんにとって、チョコレートは毒、ということを忘れてはいけません。
人間は、チョコレートに含まれる、カフェインやテオブロミンという成分を素早く分解できますが、ネコちゃんは分解できず、中枢神経や心臓に強く作用して、中毒症状を起こします。
チョコレートを食べて、数時間から半日以内に、中毒症状が現れ、大量に食べてしまうと命に関わることもあります。
空腹状態では、症状が出るまでの時間が早まることもあります。
誤食後、2~6時間の初期症状では、嘔吐や下痢などの消化器症状、中枢神経が興奮して落ち着きがなくなったり、尿失禁(トイレ以外の場所で排尿してしまう)などが認められます。
時間の経過とともに、呼吸が速くなり、神経過敏、震え、痙攣や発作、不整脈などの重篤な症状が現れます。
症状や進行速度は、食べた量やカカオ含有量によって個体差がありますが、処置が遅れてしまうと命に関わるものばかりです。
チョコレート以外にも、カフェインを含んでいる食べ物や飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶、ココア、コーラなど)でも、同様の症状が出てしまう危険があります。
特に、ココアは高濃度のカフェインとテオブロミンが含まれており、ダークチョコレートよりも危険です。
また、カフェインを含む医薬品(痛み止めや風邪薬など)、眠気防止用の栄養ドリンクなども注意が必要です。
カカオ含有量の多いビターなチョコレートを体重1kgのネコちゃんが食べた場合、チョコレート1欠片でも中毒症状が起き、板チョコ約1/5枚程度で命に関わることがあります。
ネコちゃんのテオブロミンでの致死量は体重1kgあたり250~500mgとされていますが、個体差があり、代謝や吸収が不安定な子ネコちゃんは少量でも重症化する可能性があります。
万が一、誤食してしまった場合、食べたものや量、時間などによって臨機応変に対応が求められます。
ごく少量であれば様子を見ることもありますが、大量に食べてしまった場合は、動物病院で吐かせたり、胃の中を洗浄したり、入院が必要になることもあります。
ネコちゃんが、おうちでチョコレートを食べないような環境づくりをすることも飼い主さまの大切な役割です。
ワンちゃんと違い、ネコちゃんは高いところも動きまわることができ、戸棚も開けることができます。
ご自宅でチョコレートを保管する場合は、取り外しが難しい容器に入れるなど工夫しましょう。
バレンタインデーの時期、ご自宅でお菓子づくりをされる方も多いかと思います。
作ったお菓子を冷ましている間や、作りかけの材料を、ネコちゃんが食べてしまうことがないよう、手の届かない場所に置き、絶対に目を離さないようにしましょう。
気になること、ご不安なこと等ございましたら、ご相談ください。