コラム

ネコにマタタビ

「ネコにマタタビ」という言葉を、みなさん1度は耳にしたことがあるかと思います。
江戸時代には、ネコちゃんとマタタビが描かれた浮世絵があったそうで、ネコちゃんがマタタビを大好物とすることは古くから有名なお話です。

ネコちゃんがマタタビの匂いによって、急にテンションが上がったり、リラックスした表情で体を擦り寄せて転げまわったり、まるで、酔っ払ったかのような行動をみせてくれます。
今回は、豆知識ということで、ネコちゃんとマタタビについてお話します。

マタタビとは、キウイフルーツと同じマタタビ科マタタビ属のつる性の植物で、他の樹木などにからみついて、山地の川沿いの斜面など、水分が多い環境を好んで生育します。
ペットショップなどには、マタタビの実や枝などを乾燥させて作られたネコちゃん用のマタタビ商品が市販されています。

マタタビの反応は、上あごの「ヤコブソン器官」という、フェロモンを感知する器官の働きによって引き起こされます。
ヤコブソン器官がマタタビの成分に反応して、信号を脳へ伝えると、中枢神経が刺激されて、運動中枢や反射を鈍らせてしまいます。

ネコちゃんとマタタビに関する様々な研究があり、2022年に、岩手大学と名古屋大学、リバプール大学の共同研究で、ネペタラクトールという物質が、マタタビ反応を引き起こす、有効な成分ということが示されました。
マタタビの主成分であるマタタビラクトンと同様、中枢神経を刺激して、他のネコ科の動物さんたちにも同じような効果がみられるそうです。

マタタビには、ストレス解消、食欲増進などの効果があると期待されていますが、反応には個体差があり、与えすぎると中枢神経に麻痺を起こして、呼吸困難になってしまうこともあります。
子ネコちゃんや、マタタビが初めてのネコちゃんは、中枢神経への効果が強く出てしまい、パニックを起こして、怪我してしまう可能性があります。
また、高齢ネコちゃんや、基礎疾患のあるネコちゃんにとっては体への負担となり、重篤な症状や、時に命に関わることもあります。
子ネコちゃんや、高齢ネコちゃん、基礎疾患のあるネコちゃんには、与えないようにしましょう。

ネコちゃんにとってマタタビは、依存性や長期間使用することによる内臓への毒性はないとされていますが、高頻度で与えると、ネコちゃんがマタタビに慣れ、耐性ができてしまう可能性があります。
少量では効果がなくなり、徐々にマタタビの摂取量が増えてしまいます。

また、飼い主さまの目の届かないところで、誤食してしまう事故にも注意が必要です。
中毒や怪我のリスクを防ぐために、ネコちゃんの目の届かない場所や、取り出せない場所に保管するようにしましょう。

飼い主さまとネコちゃんとのコミュニケーションツールの1つとして、マタタビを使用することは、時に、効果的なこともありますが、危険性も充分理解した上で、選択することが大切です。

ネコちゃんとの絆を深めるために、おもちゃや遊びのバリエーションを増やすことで、メンタル的な満足度の向上や、問題行動の軽減に繋がる効果も期待できます。
ネコちゃんとのおうちでの過ごし方や、気になること、ご不安なこと等ございましたら、ご相談ください。