コラム
ネコちゃん ノミダニ予防について
あたたかい日差しが心地よい季節となりました。
今回は、あたたかい季節に気をつけたい、ネコちゃんのノミダニ予防についてお話します。
ノミは昆虫の仲間で、ネコちゃんや人に寄生する種類は、主にネコノミです。
暗くて湿ったところを好み、草むらや、ご家庭のお庭や花壇などに潜んでいます。
2mmくらいの体長で、30cm以上ジャンプでき、飼い主さまの靴や服、ネコちゃんに付着して室内に侵入します。
ネコノミは13℃を超えると繁殖し始め、ネコちゃんの体表に毎日約30個の卵を生みます。
特に、気温と湿度が高い6〜10月は、数週間で卵から成虫になって卵を産むため、寄生した宿主の上で大量繁殖します。
ネコちゃんにノミが寄生してしまうと、強いかゆみをともなうノミアレルギー性皮膚炎や、好酸球性皮膚炎を起こします。
また、ノミが持っている寄生虫や細菌が健康被害を起こすこともあります。
グルーミングの時にノミを食べてしまうと、瓜実条虫という寄生虫が腸内で増え、下痢などの消化器症状が出ることがあります。
また、ネコちゃんがノミを介して「バルトネラ菌」に感染すると、飼い主さまが引っかかれたり噛まれた際、発熱やリンパ節炎を起こす「猫ひっかき病」を発症するなど、人獣共通感染症の原因にもなります。
ダニはクモの仲間で、ネコちゃんに寄生するダニは、マダニ、ヒゼンダニ、ヒゼンダニ、ミミヒゼンダニなど様々な種類があります。
特に危険なのは、人の死亡例が増えているSFTS(重症熱性血小板減少症候群)の病原体を媒介するマダニです。
成虫は体長が3~8mmで肉眼で見ることができ、吸血すると、10~20mmになります。
春から秋にかけて草むらや自然豊かな場所に多く生息し、飼い主さまやネコちゃんの皮膚に咬み付いて吸着し、室内に侵入します。
SFTSウイルスを保有したマダニに吸血されると、原因不明の発熱や嘔吐、下痢などの消化器症状、倦怠感などの症状が認められます。
治療法は対症療法のみで、有効な薬剤やワクチンありません。
飼い主さま、わんちゃん、ネコちゃんの区別なく感染するおそれがあります。
その他、ダニを介して、ネコちゃんに重度の貧血を引き起こす「猫ヘモプラズマ感染症」や、飼い主さまにインフルエンザ様症状を引き起こす「ライム病」など、様々な病気の原因となります。
寄生虫の活動が活発になる、春から秋にかけて、病院で処方された駆除薬で、予防をすることがとても大切です。
ノミダニは、ネコちゃんの生活場所、畳の隙間、ベットなどの湿度が高い場所で、ゴミの中の成虫の糞やフケなどの有機物を食べて成長します。
体表で吸血する成虫はわずかで、多くノミダニは卵、幼虫、さなぎなどの状態で隠れているため、おうちのノミダニを完全に駆虫することは難しいです。
万が一、寄生されてしまっても、駆虫薬を投与することで、成虫を数時間から数日でほぼ駆除してくれます。
また、卵の孵化を抑制し、幼虫の発育を阻害する効果が1カ月ほど持続します。
また、ネコちゃんの生活環境を清潔に保つことも飼い主さまの大切な役割です。
ベッドなどの布製品お洗濯や、ノミダニが隠れやすいお部屋の隅はこまめに清掃しましょう。
ネコちゃんを定期的にブラッシングしてあげることも有効です。
当院では、飼い主さまとネコちゃんの健康を守るため、健康診断や予防薬の処方を行っております。
定期的に受診しましょう。