コラム
ネコちゃん「ネコちゃんの皮膚糸状菌症について」
梅雨の季節、天気が安定せず、お休みの日はおうちでネコちゃんと一緒に過ごす、という飼い主さまも多いのではと思います。
今回はネコちゃんの皮膚のトラブルの1つである、皮膚糸状菌についてお話します。
皮膚糸状菌症とは、糸状菌(Microsporum canis)いう真菌(カビ)に感染して脱毛や皮膚炎を起こす病気です。
糸状菌の主な自然宿主はネコちゃんで、被毛や爪、フケなどを栄養に繁殖します。
無症状のネコちゃんもいますが、感染後1〜4週目で、被毛が円形に脱毛し、徐々に広がっていきます。
皮膚が赤くなり、フケやカサブタができますが、かゆみがないことがほとんどです。
主に頭部と四肢に症状が出ることが多いとされていますが、基礎疾患のあるネコちゃんは全身に症状が表れることもあります。
皮膚糸状菌はネコちゃんだけでなく、ワンちゃんや、小鳥さん、ウサギさんなどにも感染します。
また、人獣共通感染症のため、飼い主さまにも感染し、腕などにリング状の赤い発疹ができます。
感染ネコちゃんや、抜け毛やフケや真菌に汚染したもの(ベッド、ブラシ、バリカンなど)に接触することで感染します。
子ネコちゃんや高齢の子、長毛種、免疫力の低下した子で症状が出やすく、野生のネコちゃんや、多頭飼育の環境などは感染のリスクが上がります。
皮膚書状菌症が疑わしい場合、ウッド灯というライトで特殊な波長の光を当てると、カビに感染した毛が青緑色に光ることがあります。
最終的には、疑わしい部分の毛やフケを、顕微鏡で観察して診断します。
感染毛では、膨化した毛の周囲にカビが認められます。
真菌培養検査やPCR検査で真菌を検出することもあります。
治療は、塗り薬、抗真菌薬の入ったシャンプーを使用し、毛刈りを行うこともあります。
外用薬の治療にあまり反応がなかったり、皮膚症状が広範囲に見られる場合は、抗真菌薬の内服薬を使用します。
皮膚糸状菌は環境中でも生命力が強く、カビの感染を拡大しないために、治療が完了するまで他の動物やヒトとの接触をできるだけ避け、環境を汚染をしないことも重要です。
アルコールが無効のため、次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒するのが有効です。
皮膚糸状菌の治療は、飼育環境の清掃・消毒など飼い主さまの協力が不可欠となります。
もし、ネコちゃんの皮膚に脱毛やフケなど皮膚病変が気になる場合は、お早めにご相談ください。