コラム
ネコちゃん「ネコさん 変形性関節症」
変形性関節症とは、動作時に困難と痛みを伴う慢性的な変形性の関節疾患です。
加齢や肥満、骨形成不全など慢性的な負荷や、骨折や脱臼などの急性損傷によって関節に負荷がかかると炎症が生じ、軟骨が損傷してしまうため、強い痛みや苦痛を伴います。
主に中齢から高齢のネコさんに多く、12歳以上の大半で認められるという報告もありますが、若いネコさんでも発症することがあります。
関節軟骨の異常により、四肢の関節に痛みが生じ、脚を引きずったり、運動を嫌がるようになります。
悪化すると関節が熱を持って腫れたり、痛みを紛らわすために脚をなめたり噛んだり、飼い主さまが触れると嫌がるなどの症状が出ます。
日常生活でも、ジャンプができず高いところに登り降りできなくなった、あまり動かない、寝ていることが多くなったなど、変化が認められます。
また、爪とぎや毛づくろいがうまくできなくなった、トイレ以外の場所でおしっこすることが多くなった、食べる量が減って体重が減少した、などの症状が出ることもあります。
加齢によって動きが鈍くなったように見えますが、実は、変形性関節症の可能性があるため注意が必要です。
変形性関節症は完治が難しく、痛みを軽減して日常生活の質を向上することが治療目標となります。
治療はネコさんの症状に合わせて、体重管理、運動、お薬などを併用して行いますが、重度の場合、手術が必要となることもあります。
変形性関節症のネコさんは、活動性が低下し、肥満になりやすいとされています。
主に、ごはんや適度な運動で体重をコントロールをすることで、関節への負荷を軽くする効果が期待できます。
また、運動により関節を支える筋肉が鍛えられ、関節の可動性が改善されることがあります。
痛みを軽減してネコさんのQOLを向上させ、また、関節の動きを改善して損傷の進行を防ぐ目的で、お薬を使用することがあります。
従来は、NSAID(非ステロイド消炎鎮痛剤)が第一選択薬とされていましたが、2022年7月に変形性関節症の痛みにアプローチする注射薬の新薬が承認され、選択肢が増えました。
変形性関節症の進行や重症度は、年齢、動作性、発生部位や原因によって個体差があります。
変形性関節症は早期診断と治療がとても大切です。
ネコさんの症状に合わせた治療を早期に開始することで、不快感や痛みを軽減し、動作が回復したり悪化を予防できる可能性があります。
また、ネコさんの症状によっては長期の治療が必要なこともあり、飼い主さまのご協力が必要不可欠となります。
当院では、飼い主さまとしっかりお話し、おうちのネコさんにとって最善の治療法をご提案することを心がけております。
気になる症状がございましたら、早めにご相談ください。