新米が美味しいこの季節、秋の味覚を堪能された方も多いのではと思います。

今回は、肥満のネコさんで気をつけたい、糖尿病についてお話します。

糖尿病とは、血液の中のグルコースの濃度（血糖値）の調整が上手くできずに高血糖となって、尿から糖が排泄される病気です。

ごはんに含まれるグルコースは、消化管から吸収され、肝臓や筋肉などでグリコーゲンという物質になって貯蓄されています。

食後など、血糖値が高まると、インスリンという膵臓のホルモンのはたらきで、グルコースの取り込みが促進され、血糖値が下がります。

逆に、空腹や運動などでエネルギーをたくさん消費する場面では、低血糖でけいれん発作や、ぐったりしてしまうことがないよう、血中にグルコースが運ばれます。

健康なネコさんの血糖値は、一定の濃度を保っていますが、インスリンのはたらきが悪くなると、高血糖が持続して、血管を障害したり、代謝が悪くなります。

遺伝や免疫疾患、感染などが原因で膵臓のインスリンを分泌する細胞が障害され、インスリンの分泌が不足したり、肥満やストレス、偏ったごはんなどの生活習慣が原因で、体がインスリンに対して反応しづらくなり、発症することが多いとされています。

糖尿病を発症すると、飲水量が増え、尿量が増える多飲多尿や、体重減少などの症状が見られます。

症状が進行すると、糖が上手く利用できなくなり、代わりに脂肪を肝臓で代謝してエネルギーを産出するようになります。

脂肪の代謝で発生するケトン体という老廃物が、糖と一緒に尿に排泄されます。

食欲低下や下痢嘔吐などで、脱水が進行すると「糖尿病性ケトアシドーシス」という急性の昏睡状態に陥り、命に関わることもあります。

糖尿病は合併症を伴うことが多く、白内障や腎疾患、肝疾患、細菌感染症のリスクが高くなります。

糖尿病が疑わしいネコさんは、血液、尿、レントゲン、超音波検査などを行い、基礎疾患の診断も含めて、総合的に判断します。

糖尿病の治療は血糖値のコントロールが主体で、ネコさんの症状に合わせて、お薬、インスリンの投与、食事療法や運動療法を併用して行います。

ケトアシドーシスが生じている場合は、入院して点滴を行います。

おうちのネコさんが糖尿病を発症しないために、栄養バランスの良いごはんや運動を心がけ、肥満にならないことがとても大切です。

また、おうちで飲水量やおしっこの量や状態、体重などをこまめにチェックし、定期的に健康診断を受診することも早期発見につながります。

気になる症状がみられた場合は、早めにご相談ください。