コラム

ネコちゃん「ネコさん エイズについて」

ご家族で過ごす時間が増える冬休み、新しいネコさんをお迎えするおうちも多いのではと思います。

今回は、特に保護ネコさんをお迎えする際に気をつけたい、ネコエイズについてお話します。

 

ネコエイズとは「ネコ免疫不全ウイルス感染症」、「ネコ後天性免疫不全症候群」とよばれ、免疫が抑制され、二次感染など全身にさまざまな症状を起こす病気です。

原因ウイルスはFIV(Feline Immunodeficiency Virus、ネコ免疫不全ウイルス)で、ネコさんにのみ感染します。

 

ウイルスが体内に侵入すると、ウイルスを保有するキャリアとなります。

感染ネコさんとのケンカによる咬傷で、唾液中のウイルスが傷口から侵入し感染します。

男の子は、縄張り争いや発情期の喧嘩などの影響から、女の子より、感染のリスクが2倍以上で、日本では屋外のネコさんの約10%が陽性とされてます。

一部、交尾や、お母さんから子ネコさんへ胎盤やお乳を通じた母子感染の報告もあります。

 

症状は、①急性期、②無症状キャリア期、③持続性全身性リンパ節症期、④エイズ関連症候群、⑤エイズ期、と進行します。

 

①急性期では、FIVに感染後1ヶ月から数ヶ月に元気消失、リンパの腫れや発熱などが生じます。

症状は一時的なもので、収まると無症状の状態が続きます。

 

②無症状キャリア期とは、症状が外見に現れていない状態のことで、数年〜10年以上続くこともあります。

ゆっくりと免疫機能を持つリンパ球が減少していきます。

 

③持続性全身性リンパ節症期になると、全身のリンパ節が腫れが1〜2ヶ月ほど続きます。

 

④エイズ関連症候群期は、全身の免疫機能が低下し、リンパ節の腫れだけでなく、貧血、血小板、白血球の著しい減少が認められます。

口内炎や風邪症状、慢性的な下痢、皮膚病などの様々な症状がみられ、徐々に体力が低下します。

 

⑤エイズ期とは、免疫機能が極めて低下し、食欲減退、著しい体重減少、健康なネコさんでは感染しない常在菌などが原因の日和見感染などがみられ、命に関わります。

悪性腫瘍の発生リスクも高くなるとされています。

 

ネコエイズを完治する治療はなく、症状の緩和を目的とした対処療法を行います。

ネコさんの症状に合わせて、抗炎症剤や鎮痛剤で痛みを緩和したり、抗生物質や抗ウイルス薬を用いることもあります。

 

当院では、おうちで新しくネコさんをお迎えする飼い主さまに、ウイルス検査や、必要に応じてワクチンをおすすめしております。

特に、おうちに先住ネコさんがいる場合や、保護ネコさんをお迎えする飼い主さまは注意が必要です。

陽性ネコさんも早期発見、治療によって、生活の質を保つことができます。

 

また、おうちのネコさんを感染から守るため、室内飼育を徹底し、食器やトイレを清潔に保つなど、飼い主さまのご協力が必要不可欠です。

新しいネコさんとの楽しい新生活がスタートできるよう、お手伝いできれば幸いです。