コラム
ネコちゃん 「ネコさんのウールサッキング」
晴れた日のお出かけにもコートやマフラーが手放せない、肌寒い日が続いております。
ふわふわの防寒具が大活躍するこの季節、飼い主さまの羊毛(ウール)のセーターやブランケットなどにネコさんのよだれが付いていたり、穴が空いていた、ということはないでしょうか。
実は、これらの行動は、ネコさんのウールサッキングの可能性があります。
ウールサッキングとは、布製品、特にウール製の柔らかい布やニットなどをネコさんがおしゃぶりしたり、かじったりして、飲み込んでしまう行動のことです。
ネコさんのおうちの環境によっては、レジ袋などのビニールやスポンジ、段ボールなどを好む子もいます。
過度になると常同障害として、対策や治療が必要な場合があります。
常同障害とは、不安やストレスなどが溜まったときに気持ちを落ち着かせるため、目的のない行動を繰り返す問題行動のことです。
動物園の動物さんが、同じ場所をグルグルと歩いているのを見たことがある方も多いと思いますが、これが常同障害です。
ネコさんではウールサッキング、過剰な毛づくろい、しっぽを追う行動がよくみられます。
一方ワンちゃんは、その場でクルクル回り続けたり、一点を見つめたり、物に頭を突っ込んでじっと動かないなどがあります。
原因ははっきりと分かっていませんが、シャムやバーミーズなど遺伝的に多い品種、生活環境、ストレス、脳神経疾患などの病気、栄養不足などが関係しているとされています。
留守番が長くてご家族と一緒に過ごせる時間が少ない、トイレのお掃除がこまめにできていない、同居の子と仲が悪いなどの環境で生活するネコさんは、特に注意が必要です。
ネコさんが、ウールなどの異物を上手く吐き出すことができずに食べてしまった場合、腸閉塞が生じて、命に関わることもあります。
常同行動の原因は、ネコさんによって個体差があるため、その子に合わせてストレスを軽減し、生活環境を整えることが大切とされています。
例えば、飼い主さまとネコさんが一緒に過ごす時間を増やしたり、おもちゃを用意することで、ウールに対する執着心が和らぐこともあります。
また、トイレや食器を清潔に保つなど、ネコさんが安心して過ごせる場所をつくることも大切です。
ネコさんによっては、おくすりを処方することもあります。
当院では、ネコさんの問題行動や生活環境やごはんのアドバイスを積極的に行っています。
おうちのネコさんの行動やクセで、気になること、ご心配なことがございましたらご相談ください。